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「え? あ、そうだった……でも……」
私はまだ洋の両親には会えていない。それなのにここだけで話を進めてしまってはいけない気がする。
「ねぇ、忘れてたの?」
「わ、忘れていたわけじゃないんだけど、ほら。私まだ洋の御両親にも会ったことないし」
「うちの両親……? それって、もう結婚を視野に入れてってことでいいんだよね」
「よくわかんないけど……でも、一緒に住むならちゃんと挨拶しないといけないのかなって」
洋は大学病院の医師だし、両親にとっても自慢の息子だろう。いくら私の両親と面識があったとしても、見たことのない娘と勝手に同棲するだなんて面白くはないと思う。
私は3年間は専門学校へ通わなければならないわけで、すぐに結婚できるわけではない。だから結婚を視野にと言われてしまうと、それはそれでまだ早いような気がする。
「凛が会いたいって言うなら、うちの両親と会う機会くらいつくるよ。俺も早く一緒に住みたいし」
洋が強く私と一緒に住みたいと思ってくれているのが伝わってくるのがとても嬉しい。学校も合格し、これから全てが新しい環境に変わっていく。
それでも洋がいてくれさえすれば、何でも乗り越えられそうな気がした。
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