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ーー3ヶ月後
「心臓はどこにありますか? じゃあ、14番の人」
城成高校よりも狭い教室の中で、42人の生徒を見渡した後、教員は出欠表を見ながら出席番号で生徒を指名した。
「えっと……ここです」
そう言って、当てられた生徒は自分の左胸を押さえた。
「あのね、もう看護学生なんだからこことか言わない。一般の人だと左胸に心臓があるって思ってる人多いけど、心臓は体に対して真ん中にあるからね」
教員が言った途端にざわざわと教室が沸く。私も左側にあると思っていたため、教員の言葉に驚いた。
「やだ、ちょっともしかして皆そうだと思ってたの? ちゃんと覚えてよー。心臓は、胸骨と第2から第6肋骨の背面にあるの。はい、第2肋骨どこ?24番」
まだテキストを開くなと言われ、何も参考にするものがない状態で講義は進んでいく。当てられた子は丁度胸の真ん中辺りを触った。
「肋骨はどうやって位置するの?全部で何本あるの?」
次々とくる質問に、誰も答えられずにいる。もちろん私もその中の1人だ。全く手をつけたことのない領域での勉強は、知識がなさすぎてまた0から始めなければならず、入学してから1ヶ月と少しが経ったが、私はまだ勉強方法に苦戦していた。
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