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大往生を遂げてからまだ2日目。
今のところ陽光は一式翁の夢枕に立ってはいない。
陸攻は約束を忠実に守り、嵐山と静乃以外には陽光の大往生を伝えてはいなかった。
「早く来てくれよニィニィ…
あの嵐さんが冗談の一つ言えない位、手荒くがっかりしたんだぞふらー…」
寂しそうに呟く一式翁。
『くぬ野郎!
誰がふらーだと河太郎!』
そんな言葉が返ってくるのではという期待も虚しく、一式翁の耳に聞こえて来るのは潮風が奏でる自然の鎮魂曲のみである。
ニィニィ ハ シンダ。
ニィニィ ハ モウ イナイ。
如何なる理由かは分からねど、一式翁は世の中の全てがよってたかってそう言っているように感じられてならなかった。
「たちの悪い冗談はやめてくれよニィニィ…
怒りもしないし殴りもしない。
嶺音さんに言い付けもしないから…
しないから…
頼むよ…
頼むから生き返ってくれよニィニィ。
こんなのニィニィらしくないじゃないか…
いつもみたいに、俺様を誰だと思ってるふらー
…って言ってくれよニィニィ」
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