6人が本棚に入れています
本棚に追加
もしも自分が尊敬して止まない存在が、某かの理由に拠り落ち込む事があったとしたら…
そのような事態に直面した場合、大半の人々がそれぞれの力及ぶ範囲にて、その存在の力になるべくあれこれと知恵を絞りそして実行に移すであろう。
しかし、昨晩陸攻夫妻宅にかかって来た一本の電話はその余りの意外性故に、未だ夫妻に知恵を絞る余裕を許さない程の事態を招く事になったのであった。
「まさかタンメーがこんな事になるなんて…」
「及川悟の性根が真っ直ぐに立ち直る位、有り得ないと思っていたです…」
店のパイプ椅子に腰掛け、夫婦仲良く頭を抱えながら陸攻とくるみ。
マヤさんこと小林十三氏を通じ友達価格にて購入した国鉄風の壁掛け式時計は、既に午後3時を指そうとしている。
幸か不幸かいつものように客は殆ど入ってはおらず、お陰で夫妻はじっくりと考え事にふける事が出来ていた。
夫妻が頭を抱えざるを得ない状況となったきっかけは、先に述べた一本の電話である。
その電話をかけてきた相手は一式翁。
またいつものような長電話になると思いきや、翁にしては明らかに短い時間で電話を切ったのだ。
しかも…
最初のコメントを投稿しよう!