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豪快に勘違いするくるみ。
「いや、そっちじゃなくて…
とうとう痴呆が始まってしまったんじゃないのかなと…」
内心苦笑しながら陸攻。
幾ら祖父直伝の朴念仁といえど、始まったと聞いた愛妻が何を連想しているか位はすぐに察しがつく。
「???」
「ほら、タンメーが昨日の夜の電話で、14年の3月一杯で駆逐艦電を退艦して4月から海軍飛行学生になったって言ったよね?」
「確かに言ってたですね…
でも、それと痴呆とどう関係あるですか?」
大きな目をパチパチと瞬かせながらくるみ。
その両頬が微かに赤くなっている事からも、くるみが自らの早とちりに気付いたのは明白である。
やがて陸攻が口を開いた。
「タンメーたち海軍飛行学生32期が霞ヶ浦航空隊に入隊したのは、14年の9月なんだ。
タンメーが海軍に纏わる話を間違えるなんて…」
「!!!
ひえーっ!
こうしちゃいられないです!
早くお掃除するです!
ソーフヨーイッ!」
くるみが慌てふためくのも無理はないだろう。
何故ならくるみそして陸攻の知る限りでは、一式翁が昔の話…
特に海軍時代の記憶を間違えて人に語るなど、今回が初めての事なのだ。
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