第1章 衝動

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<変> 幼い頃から、“変な奴”って言われてきた。 “何考えてるのか わからない”とか。“普通は そんな事しない”とか。 俺にしたら“普通”って何なんだよ!って話だけど。 でも、“変”って言うのは納得…というか理解している。 何歳頃かな…物心ついた時には、他人のオーラ…というか 心の動き…みたいなモノが見えて。 色んな人がいるみたいだけど。俺の場合は、真珠とかパワーストーンみたいな≪珠(タマ)≫が見えて。そのタマの色とか…タマを纏うオーラの色とか動きとか…そんなモノで。相手がどういう心を持った人なのかとか、その人の心の動きとか…そんなものがわかった。 小さい頃はバカだったから、何の抵抗もなく正直に…親や周りの人に“タマ”が見えることを言った。そしたら“頭のおかしな変な子”と言われ、線を引かれた。 そんな中で、出来上がった“今の俺”。自分の世界だけで生きる無口な変な奴。 小学校の高学年に事故で頭をぶつけてからは、その“タマ”も見えなくなった。だが、俺はどっちでも変わらなかった。タマが見えた所で、他人の心は嘘や欲ばかりで。それに見えても見えなくても、俺は もともと他人に合わせるという協調性に欠ける生き物だと自覚していた。 他人にどう思われるかばかりか、他人の存在でさえ俺の世界には なかった。親たちが離れていっても、寂しささえ感じられない…そんな生き物。 でも、中学の頃に長崎さんにスカウトしてもらった事で俺の世界は変わった。自分の世界でしか生きられない所は、なかなか変わらなかったけど…他人にも色々な種類があって。長崎さんのように、情に深く…あたたかい心しか持ち合わせていない人間もいると知った。 損とか徳とか関係なく、俺を無理矢理自分の世界に入れてくれる人間。俺のために頭を下げ、俺の為に労を尽くす…そんな人間。義理とか恩とかじゃなく…この人の為に頑張りたいと……俺は初めて思った。 BCBのメンバーは、俺と同じくらい“我が道を行くタイプの人間”で。俺の他にも俺みたいな生き物がいるのだと…それを知れた事も、変われた要因のひとつかな。それでもなんとなく一緒に暮らすうちに、仲間になって…家族になったような気がした。 まぁ…そんな恵まれた中でも、結局根本は変わらず。自分に都合良く可愛く言えば『マイペース』。簡単に言えば『自分の事しか見えてない ただのワガママなガキ』だな。
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