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轟々と雪が吹き荒ぶ、ある冬の夜。
「嘘……でしょ……?」
扉の向こう側に対峙している相手を見て、亜季はストン、と腰を落とした。
そこに佇んでいたのは、一匹の大きな犬……いや、犬ではない。
暗闇に鋭く輝く金色の瞳。
気のせいか、その瞳には深い悲しみがたたえられている。
それは、銀色に輝く毛並みを持つ、一匹の大きな狼だった。
「狼? いいえ……もしかして……」
その銀狼の耳がピクリ、と反応する。
「柊……お兄ちゃん、なの?」
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