~再会~

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 *****  兄の柊はこの半年程、亜季の前から行方をくらましていた。  突然、久しぶりに帰った柊の第一声はこう。 「亜季、今から三十分後に僕の部屋に来て。見せたいものがある」  亜季はそう言われて、きっかり三十分後に柊の部屋を訪ねた。  ノックをしても呼び掛けても返事がない。  心配になってドアを開けると、金色に輝く二つの瞳が、じっとこちらを見ていた。 『亜季……』 「え?」  銀狼の口が動いた様子はない。  直接頭に響いてくるのは、間違いなく兄である柊の声。 『もう君と一緒には居られない。だから最後にこの姿を見せておこうと思った。本当は見られたくなかった、この異形の姿を』 「どういう事? ねえ、お兄ちゃん」 『僕は君の兄じゃない。君は普通の人間で、僕は人の手によって造られた……モンスターだ』 「なに……一体何を言っているの?」  造られたモンスター?  目の前にいるこの銀狼が……自分の兄が……  この突然の告白を、亜季は到底受け止められそうになかった。 『ごめんよ亜季。父さんと母さんは僕のせいで殺されたんだ……』 「え!? 殺されたって……ど、どういう事?」  今から半年前、二人の両親は突然に逝ってしまった。  原因は、車のハンドルミスによる不慮の事故。  そういう事で片付けられたのだが――  「違う、単なる事故である訳がない……」葬儀の最中、柊はポツリとそう呟いていた。 『二人は殺された。僕を……手離さなかったばかりに』  金色の瞳が陰を帯びる。その瞳には微かに涙が滲んでいた。 『彼らは言ってくれた。血の繋がりも、姿形も関係ない。お前は自分達の本当の息子だと。息子を売り渡す親などいないと。鉄のような固い意志で僕を守ろうとしてくれた』  ああ、そうだ。自分達の両親はそういう人達なのだ。  亜季の目からも一筋の涙が伝った。
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