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「ただいま」
蓮登が家に帰ってみたのは、虚ろな瞳でベッドの傍にへたり込んでいる奏の姿だった。
口元からの涎も、溢れる涙も、何もかもが愛おしくてそっと彼女を抱き上げ耳元で囁いた。
「奏、いい子にしていた?
帰ってきたよ」
「ん……あ……っ」
散々ナカを引っ掻き回されて悶々としていた奏は、耳への弱い刺激すら敏感に感じ取って、甘い微熱に浮かされたような声をあげる。
「すっごくエロい顔してる。
そんな風に煽られたら優しくできなくなるよ、奏。
ハジメテなんだろ?」
奏は焦点の合っていない瞳を蓮登に向けて、こくりと頷いた。
途端、気まぐれな玩具が動き出す。
「あ、ああああん。
もう、嫌だ。やめて……お願いっ」
「いいよ。じゃあ、自分で出して御覧。
見ててあげるから」
電気を煌々とつけた明るい部屋のベッドの上で、スーツを身に着けオールバックのままの隙のない姿で蓮登は言う。
羞恥心に煽られ、奏はふるふると首を横に振る。
「いやぁだ、蓮登。
とって……」
くすくすと蓮登は笑うとベッドから離れ、皮張りの椅子に腰を掛けた。
長い脚を持て余すように組み、長い指で頬杖をつくその姿は、映画のポスターとして使えそうなほど優美なものだった。
けれど、追い詰められた奏にはそれを眺める余裕などない。
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