<5月> 木曜日の夜

2/4
2360人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
 木曜日の夜。   寝る前に備蓄してあるビールをダンボールから取り出し冷蔵庫に入れる。これが木曜の決まりごと。一人で飲むのは少し寂しい。ではなぜビールを箱買いしているのか?  それは金曜日飯塚が来るからだ。  金曜日の夜。  遅い時間までの残業や出張がない限り、仕事が終わるとヤツは俺の家に来る。いちおう毎回ご丁寧に「これからいく」と電話をよこす。電話が終わると俺は玄関の鍵をあけてボーと待つのが毎週金曜日のお約束。  ビールをダラダラ飲みながら待っていると飯塚の手料理が提供される。パスタや焼きそばなんていう一皿でOKな料理が多い(俺の台所にある調味料でできる料理は限られているそうだ)  そして終電前に飯塚は帰る。泊まっていけばいいのにと何度か言ったことがあるが『狭いじゃないか』と返された(1DKで悪うございました)  飯塚は玄関で靴を履きながら必ず言う。 ① 「俺が出た後、ちゃんと鍵かけろよ」 ② 「明日は久々に煮込みをするつもりだ」(①は毎回、②はそのつど違う)  これが毎週繰り返される。  そして翌日の土曜日。ダラダラと11:00まで布団の中でグズグズしたあと起き上がり、掃除をする。そのあと 洗濯。この順番は絶対崩せない。掃除をしながら片方だけの靴下を発見。カバンの中で複数枚に増えてしまったハンカチを出し、洗面所のタオルやら台所の布巾などをどんどんカゴに突っ込む。  掃除を終えたら着ているものをすべて脱ぎ洗濯機へ!ついでに発掘した品々も洗濯機へ!俺はマッパで洗濯物最終チェックのあとスイッチオン。そしてシャワーを浴びる。これが一番ロスのないルーティン。  家と自分の身体を清潔にした後、楽ちんだけど見苦しくない程度の服を着て飯塚の家に向かう。俺の家では作れない素晴らしい手料理が待ち受けているのだ!  14:00~15:00に到着したら酒をのみながらダラダラする。黙っていても何かしらツマミがでてくるから居心地いいことこのうえない。寛ぎすぎて昼寝してしまうこともあるくらいだ。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!