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ブランシュの戴冠式は王宮の礼拝堂で、厳かな雰囲気の中で行われた。
ブランシュは用意されたクッションの上にひざまずき、祭壇で手を合わせた。ブランシュの前に大主教が立ち、ブランシュの頭にそっと手を置くと祈祷が始まった。
祈祷が終わるとブランシュの頭に聖油が注がれた。
両手にも聖油が注がれると、王位世襲4家の当主たちがそれぞれブランシュの前に立った。
まず、宝剣と王笏を授けたのは、トーマス・ファン・マドリアナ公。
次に王杖と王の指輪を授けたのは、ジョセフィーヌ・コラ・カラブリア女公とアルト・ルイ・アインツァ公。
ブランシュの父 ホーコン・ダン=リュートル・デュエル公により、歴代の女王より受け継がれている王冠がブランシュの頭に乗せられた。
王冠を被ったブランシュは母 ロザリー・アンナ=マリア・デュエル公妃と、マリー=ローズ・エイル・マドリアナ公妃の手により、玉座に座った。
再び大主教がブランシュの前に立ち、女王の宣誓が行われた。
玉座に座るブランシュは緊張からか、少し表情が強ばっていたが、凛としていた。
戴冠式は無事に終わり、ブランシュは王位世襲4家の当主たちの先導で、集まった国民に向けて御披露目の為に、礼拝堂の正面の扉に向かって歩いていった。
本来なら国民は王宮に立ち入ることは殆どないのだが、今日は女王の戴冠式ということで、立ち入りを許可された。
王冠を被ったブランシュが礼拝堂から現れた瞬間、集まった国民は、大歓声を上げた。
「女王陛下、万歳!!」
誰かが叫ぶと、あっという間に大合唱になった。
なりやむことのない大きな歓声と拍手に応えるように、ブランシュも笑顔で手を振った。
美しい女王に国民はおろか、警備に当たっている憲兵や警官たちも歓声を上げた。
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