恋する王太子

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今から時を遡ること2か月前。 イーヴァ王国の国事に出席すべく、イーヴァ王国を訪れた皇帝。 皇后も連れて行きたかったのだが、如何せん嫡男の妻で皇太子妃 メアリーが3人目を懐妊中。"妊娠中の嫁を置いて外遊なんて出来ません!!"と孫LOVEの皇后にアッサリと断られた。まぁ、確かに。留守は皇后に任せて自分もサッサと用事を済ませて帰ろう!と皇帝は心に強く誓った。 イーヴァは隣国のラヴァル公国と国境沿いの地域を巡って数年間に渡って戦争状態であった。ここ最近はイーヴァが優勢となってきた戦争はアッサリと幕を下ろした。 ラヴァル国内でクーデターが勃発、戦争どころではなくなったのだ。そこでイーヴァ女王はラヴァル公国に対し一方的な終戦宣言をした。 ラヴァル大公に代わり、クーデター後に起ち上がった新政府はイーヴァの提案を呑んだ。数年間に渡って繰り広げてられた戦争はこうして幕を閉じた。 イーヴァ国内は長年続いた戦争の終結にお祭りムードだ。そして、ラヴァル公国改めてラヴァル共和国との終戦に力を注いだ女王を賞賛した。 「しかしあのラヴァル公国がここまでとはなぁ…。」 「ラヴァル大公と中央貴族たちの無茶な政策と長年の戦争に国民は疲れ切っていたわ。不満が溜まるのは当然よ、皇帝。」 「そうだな。産業革命以来、資本主義化が進むこのヨーロッパにおいて、あそこはいつまで経っても絶対君主だったからな。王は民あってこその王。」 「だから滅んだのよ。ラヴァル大公たちの自業自得としか言いようがないわね。」 イーヴァ王国女王 ジョアンナ2世は淡々とした口調で言い放った。 上に立つもの、民の声聞かずして国を動かすことは出来ない。苦言にも耳を傾け、国内を把握し一緒に国を盛り上げる。しかしあそこの王はそれが出来なかった。苦言を示すものには刑罰を与え、自分の意見に賛同する貴族たちしか周りに置かない。 要はイエスマンしかいりません!!はぁ?王に意見すんのか!?ええーい!!お前なんか左遷してやるぅーー!!って具合だ。そりゃ、国民は勿論だが地方の貴族や軍人も怒って民衆に味方してクーデター起こすわ。 「それにしても酷かったようだな。ラヴァル国内は。」 「ええ。民衆や地方貴族たちが国内の貧困に嘆いている時に、中央では贅沢三昧。首都と地方にこれだけ開きがあるなんて…って愕然としたわよ。聞いとく?」
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