635人が本棚に入れています
本棚に追加
/722ページ
戻ってエクトリア帝国後宮。皇太子妃メアリーの自室にて ーーーー
幼い姪たちはエリザベスに泣きついて一通り落ち着いた様で、今はエリザベスを真ん中にしてソファにお行儀良く座っている。
「それより母上はどうしてそんなに怒ってたのかしら?」
向かいのソファでお茶を啜る姉はふと漏らした。
「皇帝………。いえ叔父上から話を聞いたとき、政略結婚だと思われたそうです。」
「母上ったら…。初めから大人しく話を聞いていたらそんなに怒らなくても良かったのに。怒り損ね。」
「お祖母様に言われて隣の部屋に居たときに母上の怒鳴り声が聞こえてきました。あれは聖人であっても腰を抜かしますわね。」
「お姉さま。モントウォールのお祖母様はそんなに怖いのですか?」
「お祖母様は姉上やマリアにはとってもお優しいですよ。」
「お優しい方ほど怒らせた時は怖いものよ。シャーロット、マリア。」
「「へぇー。」」
「で?リチャード王太子と見合いは何時するの?」
「はい。来月の初めに。ノートランド王国外宮のバラ庭園でするそうです。」
「ノートランド王国に?」
「アンドリュー叔父様が見合いを進めているというのをヴィクトリア妃殿下…………姉上が情報を掴んだようで。」
「あらぁ、姉上。相変わらず地獄耳ねぇ。」
全く…。あの人の耳ってどうなってるのかしらねぇー。と軽い口調でクッキーを口に運ぶメアリーを見て、エリザベスは心の中で激しく同意した。
幼い頃からあの10歳上の、長姉の前では隠し事は不可能であった。
妹想い、弟想いなのは物凄く有難いし、長姉には感謝はしている。だが、マジでどっから情報取り入れてんだ?っと思うぐらい地獄耳だ。
「エクトリア帝国闇の番人」なんて言われているモントウォール公爵家の娘だ。そのぐらい朝飯前なんだろうか…。
最初のコメントを投稿しよう!