縁談

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エクトリア帝国後宮にて。 当時15歳のエリザベスはエクトリア帝国後宮にいた。自分に縁談が来ていると聞かされてから、気分の浮き沈みが激しい。 そりゃそうだろう。まだ15歳で結婚。しかも自国のどこぞの貴族に嫁ぐのではなく、王太子妃としての縁談だ。不安に思わないほうがおかしい。 「はぁ………」 今日も今日とてエリザベスの気分は沈んでいた。完全にマリッジブルーである。 「エリザベス。何て顔をしているの?」 縁談が来てからというもの、エリザベスはずっとこの調子だ。 それを見かねたエリザベスの祖母は直ぐ次姉である皇太子妃メアリーに話し相手になってもらっていた。 「いえ、マリッジブルーですわ。メアリー妃殿下。」 「姉様(あねさま)って呼んでちょうだい、昔みたいに。そんな他人行儀はよして。」 「お言葉ですが妃殿下。いくら妹と申せど一国の皇太子妃に対して…」 「ここには私と貴女しかいないのよ?」 エリザベスは心のなかで溜め息を吐いた。やはりこの姉には敵わない。 「では姉様。こんな薄暗い雰囲気出した妹が後宮に来て迷惑しておいででしょう?仮にも姉様いまは大事な時期で御座いますから。」 「あら?私の心配をしてくれてるの?大丈夫よ。これでも3人目よ。」 姉のお腹にいる赤ん坊が、後にエリザベスの娘婿となるミンスター公エドワードだとは、誰が予想出来ただろう。 部屋に軽いノック音が響き渡った。 「どうぞ。」 メアリーが短く返事をすると、部屋に入ってきたのは2人の幼い少女であった。 「エリーお姉さま!!」 皇太子とメアリーの第一皇女 シャーロットはエリザベスの姿を確認すると一目散に走ってきた。その後を第二皇女 マリアが姉の後に続いた。 エリーとはエリザベスの愛称である。幼い姪たちはエリザベスをこう呼んでいる。
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