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「さて、座学も終わったところで次は実践に移る」
知識をつけること約二時間。
その後で荷物の中に入れられたお弁当を食べ、ユウキは村長と共に家の外に戦いのため整えられた舞台に立った。
左手には木刀、右手には同じ素材で作られた盾が握られている。
ユウキは両足で軽くジャンプすると、付けられた防具が身体に馴染んでゆく。
年端もいかない少女に相対するのは先程まで教鞭をとっていた老人。
矛と盾を持つユウキと、身の丈に合った木刀を持つ村長。
だが、戦う前から二人はあまりにも違い過ぎていた。
――村長には、左半身は存在しないことと同義なのだ。
身体の左側は胸から上が火傷痕に覆われ目が開かず、肩から先に肉はない。
太腿から先は木造りの代用品。
付け加えるならば喜寿(きじゅ)を迎えているということだろう。
(なのに村で一番強いからわたしの稽古を任されてるんだよね……)
現に、五年以上訓練を続けているのに偶然すらも覆され一太刀も浴びせられたことはない。
「よし、じゃあ訓練開始」
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