第一章 イロハ

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「今現代おける、世界管理システムが完成してから、そう年月は深くありません。 先進国が先陣を切って管理システムを打ち出して、やがて各国の管理システムの規格統合によって世界管理システムが誕生しました」  その時、大型ホログラムに映し出された男に世界中が釘付けになった。 「また、世界管理システムが全面的にサポートしているアンドロイドも、この地球全体を良き方向に導いている。 日本のアズスコープ株式会社を筆頭に各国のアンドロイド産業は熱を上げている。 世界中のアンドロイドは常に世界管理システムにログインし続け、社会の鼓動を打ち続けている」  その時、画面に大きくノイズが走った。 オーディエンスが騒ぎ始める。一体何事かと、さらにホログラムの前に止まる人が増える。 「ERROR=929ADRD」  その時画面にその男の姿はなかった。 映し出されたのは機械的な画質の荒い謎のエラーメッセージだった。 野次馬が次々に増え、好奇心からか、携帯端末を取り出して、画面を録画し始める人も出る。 「ワタシハ イロハ。コノ セカイヲ ササエテイル」  その時、画面に真っ赤な花の画像が映し出された。 と同時に女性の声がした。人間の声に近いが、ノイズが酷く、聞き取りづらい。 「ワタシノ システムノ キンコウヲ タモチナサイ。サモナイト コノヨハ エラーニ ミチアフレタ セカイニ ナルデショウ。 ザンネンナガラ コノセカイノ キンコウガ タモタレル ジカンニハ カギリガアリマス。 モウ アナタタチノ ケイサンゴサハ ヒロガッテイル。 ソナエナサイ。セカイガ エラーニ ノミコマレルマエニ」  ノイズ交じりの声が消えた瞬間映像は再び男を映し出す。 「すいません。どうやら、システムに障害が出たようです。すいません」  男は再び話を再開した。 だが、観衆の前に突如現れたイロハが言い放った言葉は皆の心のどこかでこだましていた。
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