第32話 眠る少女

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ミカに接触してから、一ヶ月が経とうとしていた。 自分の事を話さないつもりだったが、話さなさすぎても逆に怪しまれる。 ある程度のところまでは話して、後はいつものようにはぐらかした。 学校の帰りにお茶をしたり、休みの日にデパートなどには出掛けたりしていたが、もう少し隙をつくりたい。 今度の休みにどこかに行くことを提案すると、ミカは乗ってきた。 海遊館に行くことが決まって待ち合わせをする。 「海遊館なんて久しぶりだな」 「アキくんの好きな魚って何だったっけ? 前と変わってないの?」 電車の中で魚の話になったが、知っているわけがない。 適当に答える。 「んー、そうだな。 俺はサメかな」 「サメかー。 …あれ?前は、エイが好きって言ってなかった?」 しまった。間違えた。 「か…変わったんだ」 慌てて付け加え、話を投げる。 「ミカは?何が好きなんだ?」 「私はクラゲ」 「昔は?」 「イルカだったかな~」 イルカからクラゲってどんな心境の変化だよ…。 ちょっとツッコミたかったが、ここで下手にツッコんでボロを出すのも危険だ。 「じゃあ、イルカショー見に行くか?」 「うん、行こう!」
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