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「……ねぇ、アキラさん。少し座らない?」
言いながらベンチを差したミカに、アキラの顔が探る表情に変わった。しかし、余計な詮索はしてこなかった。
ミカが座った後にアキラが腰を下ろす。
歩くにしろ座るにしろ一人分の間を取るのが、二人の間での暗黙のルールだった。だが、アキラがあけて座ったはずの空間をミカは詰めた。
アキラはいつもと違うミカの様子に驚愕する。
いつものミカなら、こんなことしねぇのに……。
………本当に、何があったんだ?
考えても分かるはずもなく、理由を聞くには図々しい。
すると、軽くアキラの肩に頭を預けていたミカから、考え事が洩れたようなそんな言葉がこぼれ出た。
「アキラさんとも約束してたら、どうだったのかな……」
『約束』?
思いがけないキーワードがミカから出てきたことで不審に感じたが、追及はせずにそのまま肩を預けさせた。
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