保坂クンにも、私のことを好きになってもらいたいんです。

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大きく深呼吸をし、学校に行くための準備を進めた。 「おはよー」 「おはよう。ねぇねぇ、昨日のテレビでさー」 校舎内に入ると、沢山の生徒で溢れている。 いつもの朝の風景だというのに、今日の私には違った場所のように思えてならない。 どうしよう、気合い入れて学校にきたけど、実際に来たら一気に緊張してきてしまった。 足はふらつき、うまく前に進んでくれない。 そろそろ朝練が終わる時間かな? それとももう教室にいる? いつかは顔を合わせると分かっていても、どんな顔をして会えばいいのか分からなくなる。 聞きたいと思っていたけれど、今になって考えると、保坂君はもしかしたら私と口を利いてくれないかもしれない。 そうなっちゃったらどうしよう。……私、どうしたらいいんだろう。 次第に教室に行くのが怖くなってしまい、進む足は徐々にスピードが緩んでいく。 沢山の生徒が追い越していく中、完全に足は止まってしまった。 「……原さん?」 急に背後から聞こえてきた私を呼ぶ声に、身体はオーバーなほど反応してしまった。
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