保坂クンにも、私のことを好きになってもらいたいんです。

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すぐに振り返ると、そこにいたのは富山君だった。 私があまりにオーバーな反応をしたからか、驚いた顔をしている。 「あっ、ごっ、ごめん!」 慌てて頭を下げると富山君は「こっちこそ驚かせちゃってごめん」と謝ってきた。 「たまたま見かけてさ。……昨日、あんな別れ方しちゃったから、気になっちゃって」 「昨日……」 “昨日”というワードで思い出してしまうのは、保坂君とのキス――。 やっ、やだやだ! なに思い出しているのよ!! もう家じゃなくてここは学校なんだから! 必死に昨日のことを忘れ去ろうと首を横に振っていると、躊躇いがちに放たれた「原さん?」の声に、ハッと我に返る。 「ごめん!なんでもない!……その、昨日はこっちこそごめんね。せっかく途中まで送ってくれたのに、あんな別れ方しちゃって」 挨拶も出来ずに別れちゃったし。 「いや、こっちこそなんかごめんね。ちょっと保坂君のこと挑発しすぎちゃったから。……あの後、大丈夫だった?」 「……うん」
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