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さっきから視線が突き刺さって痛いし、なにより手を握られているのが恥ずかしい。
「こうやっていたらさ、嫌でも噂が立つでしょ?」
「――え?噂?」
「うん。保坂君とじゃなくて、俺との噂が立てばいいと思って。……だけどもう原さん限界みたいだし、許してあげる」
「……っ!」
クスクス笑いながら離されたけれど、いまだに手も顔も熱い。
なのにそんな私を見て富山君は満足気に笑った。
「そうやって俺の言動に反応してくれて嬉しいよ。短期決戦で頑張るから、覚悟しておいて」
かっ、覚悟って……!
からかうように笑うと富山君は「またね」と言って、自分の教室へと向かっていった。
「なにこれ……」
どうして顔が熱いの?
でもあんな富山君、初めて見て……。
それにあんなこと言われて動じない女子なんている?
いるはずないよ――。
保坂君と富山君のことで、頭の中は本当にいっぱいいっぱいだ。
それなのに今から保坂君と顔を合わせちゃって大丈夫?
頭の容量がオーバーヒートしちゃわない?
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