保坂クンは私のことが大嫌いなんです。

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「あーあ、あっという間に終わっちゃったな」 九月一日。久し振りに制服に腕を通し食卓に座るものの、盛大な溜息が漏れた。 「こーら!新学期の朝からそんな溜息吐かない!」 そう言いながらお母さんは、慌ただしくテーブルにかりかりに焼かれたベーコンと目玉焼き、そしてハニートーストを並べていく。 「飲み物は自分で用意してね。お母さん、もう準備して行くからちゃんと戸締まりしていくのよ」 「はーい。いってらっしゃい」 エプロンを外すと、お母さんは慌ただしくリビングから出て行った。 原 冬華(はら ふゆか)共働きの両親のひとり娘。どこにでもいるような普通の女子高生だ。身長百五十六センチ、矯正でストレートを保っているロングヘアが大のお気に入り。 高校二年生の夏休みはあっという間に終わり、気付けばもう今日から新学期。 そりゃ誰だって朝から盛大な溜息も漏らしたくなる。
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