新しい生活のスタート

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「うん、こんなものかな?」 そして最後に鏡の前でとびっきりスマイルの練習。 ママが驚くほど早起きして、普段滅多にしないメイクを軽くだけど施して。 どうしてこんなことをしているのか。 それはもちろん、今日が私にとって特別な一日で、新たな生活のスタートだからだ。 「おいこら夕陽、なんでそんなに今日は気合い入ってんだ?」 「げっ、パパっ」 入念に髪を整えていると、まるで忍者のように背後から現れたのは寝起きのパパだった。 つい本音を漏らしてしまうと、鏡に写るパパは不機嫌そうに顔を顰めた。 「なにが『げっ』だ。パパに向かって!」 「アハハ……ごめん、つい」 笑って誤魔化すも、いまだにパパの機嫌は直りそうにない。 ジトッと視線を向けたまま隣にやってくると、歯を磨き始めた。 「ちょっとパパ!今私が洗面台使っているんだけどっ」
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