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斗真の持つ髭切と凛香の持つ膝丸(ひざまる)は兄弟刀であり、共に初代が八幡(はちまん)大菩薩より授けられ、それ以降木九衣家の宝剣として受け継がれてきた。
稽古なのだから、木刀や竹刀で良さそうなものだが、いつでも実戦を意識していなければならない、という家訓のために、木九衣家では真剣を使うのが慣わしとなっている。
「やれやれ。
今日も凛香から一本も取れなんだな。
日々の修練が足らんのじゃないかの。
ワシの目の黒いうちに、一本取ってみせてくれよ」
稽古を見ていた巴御前が辛辣な皮肉を放つ。
(何が目の黒いうちだ。
テメェは不死の化物だろうが)
斗真は憮然(ぶぜん)とした表情になるが、いかんせん事実の前には沈黙するしかなかった。
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