姉の期待に

6/15
前へ
/323ページ
次へ
「斗真。 剣技もかなり上達してるわよ。 もしかしたら、もう私と互角かもね」 そんな斗真を気遣って凛香がフォローを入れた。 しかし、それが気に入らなかったのか、巴御前は毒を吐く口を止めない。 「まったく・・・ 凛香は少し過保護過ぎやせんかの? 斗真よ、凛香もそろそろ三十路を迎えるというに、これでは安心して嫁にもいけんの」 「なんだと・・・」 痛い所を突かれて、カチンときたらしく、巴御前に噛み付こうとした。 「お待ち下さい、御前様。 私も木九衣の女です。 斗真が立派な当主に育つまで、私が親代わりを努めてみせますわ」 険悪な空気になりかけた二人の間に、スルリと凛香が割り込む。
/323ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加