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「ふう~」
斗真は、シャワーを浴び終えて、バスタオルで頭を拭きながら、居間にやってきた。
居間のテーブルには、斗真のための朝食が整えられている。
女中の舞が毎朝、斗真のために用意してくれているのだ。
斗真は、その前にドカッと胡座をかいて座った。
「お疲れ様でした、斗真様。
お腹が空かれたことでしょう。
さ、召し上がって下さい」
舞はお茶をテーブルに置くと、斗真の斜め後ろにチョコンと座る。
舞の天川家も、女中として代々木九衣家に仕えてきた。
舞は今年の四月に高校を卒業して、先代の弥生(やよい)と入れ替わりで木九衣家に来たばかりだ。
明るく溌剌(はつらつ)とした、小柄な愛嬌のある華やか娘である。
無論、木九衣家に仕える以上、ただ者であるはずはない。
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