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斗真と呼ばれたコートの青年は、何の抑揚もない声で素っ気なく答えた。
「お願いします。
どうか、見逃して下さい」
女は土下座せんばかりの勢いで、斗真に懇願する。
その可愛らしい顔は今や恐怖にひきつり、哀れなほど歪んでいた。
「フッ、笑止。
来い、髭切(ひげきり)」
だが彼は女の願いなど、一笑の元に切り捨て、左手を前に伸ばす。
すると左手の辺りに、群れ飛ぶ蛍のように光の粒子が集まり、長い棒状の形になる。
その光が消えると、彼の左手には日本刀が握られていた。
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