3章

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『君は相変わらずまっすぐだ』 声が聞こえた気がした。 『昔から何一つ変わってない』 10年の間、ずっと聞きたかった声。 『変わったことと言えば腰のチェーンがふたつってところかな?』 10年の間、一度も聞けなかった声。 『宝物、着けててくれたんだね』 赤いチェーンを指さし言っている、気がしてる。 『君は昔から律儀だったけど、今でも忘れてないとはねぇ』 そんな声は聞こえるはずもない。 だけど、僕だけには、今この一瞬だけは聞こえる彼女の声。
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