2章

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僕は彼女から、前へ進む勇気をもらった。 だけど僕は、彼女に何一つ恩返しをすることができなかった。 だからせめてもの恩返しのつもりで、毎年ここへ来ている。 どんなに仕事が忙しくても、これだけは欠かせない。 「舞の帝王がこんなところで何をー?」 少しふざけた声。この名前をこの声で呼ぶのはただ一人。20年来の親友の水瀬拓斗だ。 「もう仕事の時間?」 「・・・悪いな、春翔。本当は俺だけでもいいんだけどよ・・・」 春翔、僕の名前だ。四季春翔、両親から僕に残されたものの1つ。 「いや、我が儘なのは僕だってわかってる。もう行けるよ」 世界最強と称される『舞の帝王』四季春翔と、 世界最強の右腕『刃癒の水帝』水瀬拓斗。 10歳でそう言われていた僕らも、28歳を目前に控えていた。
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