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「出勤前に一度寄るから良い子にしてるんだよ」
蓮登はにっこり笑うと、奏を置いて家から出て行った。
はぁ―、と、奏は大きなソファに身を委ねながらため息をついて瞳を閉じた。
恋愛経験がなさ過ぎて、自分に免疫がなさすぎるのか蓮登が非常識なのか、判断できないのが残念だ。
誰かに聞いてみようにも、今日は平日。
友達は皆仕事をしているに違いない。
――元同僚以外は。
やれやれ、と思いながら鞄の中に入れっぱなしにしていたスマホを開いてみた。
大学時代からの友達、杏莉(あんり)からラインがきていた。
『かなー。久しぶり!
元気にしてる?』
私は慌てて文字を打つ。
『そうでもないよ、色々あって。
杏莉はどう?
また、一緒に飲みに行きたいね』
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