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目が覚めた時、一瞬ここがどこかわからなかった。
蓮登の部屋で戯れたのに、ゲストルームに移動しているからだ、と気付いたのはほんの少したってから。確かに、あの乱れたベッドでは寝ることもままならなかっただろう。
身体を起こすと、ぎゅうと下半身に鈍い痛みが走って夕べの営みは夢じゃなかったのだと再確認する。黒のベビードールが着せられているが、自分には幾分セクシーすぎる気がした。
「奏」
愛しい声が奏の名前を大切そうに呼ぶ。
ベッドに目を落とせば、シルクのパジャマに身を包んだ寝起きの蓮登が手招きをしていた。
あの後シャワーを浴びたのか、入浴したのか。前髪がすっかり落ちていて、ぐっと子供っぽい雰囲気を醸し出している。
気恥ずかしさに目を逸らしても、そんなのお構いなしにシーツの海に呼び戻し簡単に腕の中へと抱き寄せる。
「おはよう。身体、平気?」
今までと寸分たがわぬ優しい眼差しが奏に向けられている。
奏はそっと目を伏せた。
「平気なわけないでしょ?」
散々恥ずかしいことをした後に、今まで通りに顔を合わせて変わらぬ会話が出来るほど図太くはない。
「じゃあ、たくさんシて平気になろうね」
一方、蓮登の方は微塵も気に病んでないらしく、むしろ楽しそうに笑っている。
「――何言ってるのかわかりませ――んっ」
言い返してみたものの、極上の甘いキスで封じられた。途端、夕べのことを思いだし、身体の奥に熱が灯る。
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