命綱

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「昼間から煽らないで 。仕事に行けなくなるだろ」 とろんとした奏の耳元で、蓮登がからかうように囁く。 「煽ってないよ?」 そんなこというなら、こんなセクシーな服着せないでほしい。 だいたい、寝起きの整えてない髪型と顔でそこまで絵になるほど魅力的な方が、よほど私を煽ってるのよ? そんなことを想うだけで、その指先が前髪を払うために額に触れるだけで、今まで臓器の存在さえあまり意識しなかった子宮の奥がずんと熱くなる。 たった一度でこんなに変わってしまうなんて――どこか壊れちゃったんじゃないかしら。 髪を撫でてくれる仕草は、昔以上に優しくて、昨夜執拗に「壊してあげる」と言い続け、破廉恥な行為を強要した人と同一人物とは思えないから、つい警戒心を忘れてパジャマ越しに頬を摺り寄せて見たりした。 清潔な、石鹸の香りが鼻孔をくすぐる。
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