命綱

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甘やかな二人の時間を引き裂いたのは、がちゃがちゃとドアを開ける音と、何度も繰り返される呼び出し音だった。 「――ここ、オートロックだよね?」 怯える奏に、蓮登はいたずらっ子のように笑った。 「でも、ここ、そもそもハニビのナンバーワンに与えられる寮みたいなもんだから、俺の所有物じゃないんだ。  なんで、オーナーだけは鍵持ってるんだよね」 「ちょっと、蓮登? 開けないと壊すわよ」 高級マンションに似つかわしくない野太い声が飛んでくる。 「奏、シャワー浴びて着替えておいで」 蓮登に言われるままに、着替えを持って浴室へと滑り込む。 「はーい、今あけまーす。  でも、三分だけ待ってね、ミナ先輩」 蓮登は長い廊下の向こうに茶目っ気たっぷりの口調でそう声を投げると、自室に入って手早く着替えを済ませ扉を開けた。
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