世界の色が変わる

10/13
前へ
/87ページ
次へ
「俺だよハル!藤川遥」 「藤川って...うそ、ハルカなの?」 ハルカという人に対して、つかさはげんなりとした表情を浮かべた。 そんなつかさにハルカくんは両手を広げて抱きついた。 「ちょっ、やめてよ気持ち悪い!」 「3年ぶりの再会なのに照れんなよー」 「照れてないってば!」 長身の2人のやり取りを唖然として見ていると、不意に今朝の男の子と目が合ってしまった。 だけどふいと気まずそうに視線を逸らされて泣きそうになる。 ごめんなさい、私なんかと同じクラスになってしまって。 と、心の中で呟いた。 けれど。 どうしてこう、気まずい展開になっちゃうのかな。 指定通り、窓側の一番後ろの席に私が座る。 私の前がつかさで、つかさの隣がハルカくん。 そして、私の隣には...。 「俺、藤川遥!ハルでもハルカでもどっちでも好きに呼んで。 で、こっちは成宮千早。ちーくんで良いから」 「良くないから。人のあだ名勝手に決めないで」 千早っていうのか。 せっかく再開できて名前まで知れたのに。 素直に喜べない。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加