世界の色が変わる

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電車が完全に止まる。扉が開いて徐々に人が降りていく。 その流れに私も乗ろうとする、が。 「あ、あれ?!」 腰辺りに違和感を感じて手を後ろに回すと、スカートが電車の扉に挟まってしまっていた。 う、うそー!!? どんどん外に出て行く人達。 焦る私の気持ちも他所に、どれだけ引っ張っても挟まったスカートは扉から外れてくれない。 扉が閉まる音ではっとして、顔を上げた時にはつかさは電車の外。 私が居ないことに気付いたつかさが振り向くと同時に電車は再び進み始めていた。 どうしよう。こっちの扉が開くのはあと何駅? そんなことを考えていると、不安と焦りで涙が滲む。 どうにかしてスカートを引っこ抜かないと。 ぐいぐいとスカートを引っ張る。 すると私の手首に知らない人の手が重なった。 「大丈夫、落ち着いて。次の駅でこっちの扉が開くから」 「え、ほ、本当?」 涙汲む目で顔を見上げるけれど、視界が滲んでよく見えない。 声で男の子ってことは分かる。 けれどこの情けない状況と、手に触れる男の子の手の感触が恥ずかしくて、私は次の駅に着くまで黙って俯いたままだった。
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