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「もしかして方向音痴?」
よく見ると背も高くて格好良い、と視線を更に下へずらせば。
「え、あなたももしかして青葉校なの?!」
「え?」
「だって同じ制服!」
「もしかして今気付いたの?」
「...だって、それどころじゃなかったから」
気付いてなかったのが自分だけだと分かって顔を覆う。
すると、ふっと頭の上で笑い声が聞こえた。
「ど、どうして笑うのー?」
「や、だって、さっきから面白すぎて」
プラットホームのど真ん中でお腹を押さえて大笑いする男の子。
「スカートの裾ドアに挟まれる時点でトロすぎだし。駅着いた途端いなくなるし。見つけたと思ったら真剣な顔して逆方向に走り出そうとするし。も、無理...」
「ひ、ひど...」
すっごく恥ずかしかったはずなのに、でもあまりにも楽しそうに笑うから。
不思議と私まで楽しくなってきちゃって。
「なんでそっちまで笑ってんの?」
「だってあんまり楽しそうにしてるから。それに自分でも考えてみたら面白くって」
「なにそれ」
ひとしきり笑ったあとは何だか急にしんとして。
自分達が騒ぎすぎていたことに気付いて慌ててその場を走り去った。
「こっち、着いて来て」
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