世界の色が変わる

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** 「ひーよーりーぃ」 「つかさー!」 無事に学校まで辿り着くと、正門前でつかさが迎えてくれた。 つかさにはケータイで状況を説明して、入学式に間に合うよう先に学校へ向かってもらってたんだけど。 私も遅刻を何とか免れたようでほっとする。 「びっくりさせないでよー。ドアにスカート挟まれるってどれだけ鈍くさいの?」 「それさっきの人にも言われたよ」 「さっきの人って?」 「あれ?」 おかしいな。 ここまで一緒に走ってきたはずなんだけど。 先に行っちゃったのかな? 「...あ、飛び込み乗車してった人のこと?!」 「飛び込み乗車?」 思い出したようにつかさはパチンと手を叩いた。 「そうそう。あたしが気付いて振り返った時に、同じ学校の制服来た男子が一人飛び乗ったのが見えたの」 「きっとその人だ。私のこと助けてくれたの」 「へーえ、親切な人もいるのねぇ。ひょっとして好きになっちゃったとか?」 「んなっ、ないない!」 つかさにイジワルな目で見つめられて、一気に顔に熱が集まる。 さっき会った人のことを一瞬で好きになるなんて、そんなドラマみたいな出会い私にあるわけがない。 確かに、少し、格好良いなとは思っちゃったけど。 何も言わずに消えちゃうんだもん。 きっと、本当に、偶然助けてくれただけだよね。 「でも同じ学校なんだからいずれ会えるんじゃない?ねぇ、何て名前だったの?」 「あ、そういえば何だっけ?」 「聞いてないの?」 「うん」 「あー、もう」 「ごめんね、見つけたらちゃんと教えるから」 「うん…って、こんなことやってる場合じゃなかった!入学式遅れちゃう!早く行こう。クラスも気になるし」 「あ、待って!つかさ」
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