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証言その3 雑用係り 沼田昭雄さん
「おらはここで、芝刈りやら庭の手入れ
主に雑用だすな、あんときは中庭で鯉の池の
掃除をしとったです
おどごしの怒鳴り声が聞こえて、争うような
ものおどもしでましだ そんであわでで
宿さ戻っでみだら たいへんな騒ぎになっとり
ましで、おらにでぎるごどったって なんにも
ありませんがら 右往左往するばっかりで
んでも、部屋さ 貴重品ば置いたまんまの
お客さんもいで、部屋鍵と宿帳を確認して
荷物取りに行ったりもしただす
お客さんの誘導は仲居さんたちがしとりました
がら、おらはわからんです
そんでも ちょっと気になるごどあっでぇ
たいしたことじゃないんだすけど
そうだすか？ そんだばお話します
怪我をしとるお客さんがいるとかで
もし、お客さんの命にかかわるようなことが
あれば 犯人を撃つと聞いたんだす
隣の宿やら別館やらに警察の人が待機してると
だけんど、犯人を射止めたのは心臓で
別館からだと腰から下 隣の宿からだと
首から上しか狙えんのです
おらも 山さ行っで、猪ば射ったりしますがら
わかるんだす。 あれは山の 地蔵さんの
おらっしゃるあたりから狙わんば 撃てんのです」
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