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そんな悠長なことをいっている場合じゃないんだけど
なんとなく気になって、もう一度犯人たちが立て込もっている部屋へと目を向けた。
ふと、目の端に光るものが見えたような気がした。
SITたちが配置されている隣の宿の非常階段のその向こうの森の中、確かに光った。そして、黒いシルエット。しなやかに動くその姿は、まさか女性?
その光景は、ほんの一瞬 本当に瞬きする間の出来事目の錯覚かなと思えるくらい。でも確かに見えたんだ
頭の中で、今のは何だったんだろうと思案しているのも束の間、現場のほうからざわめきが聞こえた。
“犯人確保!”
どこからか、そんな声が聞こえた。そして
救急車のサイレンが鳴り、パトカーも動きだした。
それに合わせて報道関係者も動き出す。
現場に残っていた新聞記者の人の話では、三人の犯人のうち二人を射殺、もう一人は人質から離れた場所でタバコを吸っていたらしい。怪我をした人質は、かなり出血しているみたいであと30分遅ければ、命にかかわっていたかもしれない。ということだった。
僕は話を聞きながらも、あのシルエットのことが
気になっていた。
「あの、犯人を射殺したのはSITなんですか?」
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