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食べ始めてから約10分…。
3分の1の量を食べきった直後、田辺の動きがピタリと止まった。
そして、額から大量の汗が吹き出し、彼女の足元が貧乏揺すりを始める。
(終わったな…。
お前は良くやったと思うよ田辺…。
だが、ここまでだ!)
怪物同士の戦いは、怪物丼の勝利で終わ…。
しかし、そう思った直後、田辺の腹がキュルルルルルルーー!
そんな音を響かせる。
そして復活した田辺は、怪物丼を一気に平らげた。
残り2分前の悪夢。
「嘘、嘘…でしょ?
誰か嘘だと言ってくれ…。
嘘だ、嘘だ、嘘だぁぁぁぁぁーー!?」
俺と親父さんは叫び声を上げ、そして全てが終わった。
ただ絶望だけが残され…。
虚しく時だけが過ぎ去る…。
そして…俺と店主は、ただ虚空を見詰め思いを巡らせた。
サヨウナラ賞金。
サヨウナラ…俺のバイト代。
そんな絶望に沈む俺達を見詰めながら、ただ1人…田辺だけが歓喜の雄叫びを上げるのであった。
嘘…でしょ…こんなの…。
そんな俺達の思いを余所に店内には、田辺美奈保の獣のような勝利の雄叫びだけが響き渡り…。
木霊し続けた。
ーーー完ーーー
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