逆襲の胃袋

5/5
前へ
/5ページ
次へ
食べ始めてから約10分…。 3分の1の量を食べきった直後、田辺の動きがピタリと止まった。 そして、額から大量の汗が吹き出し、彼女の足元が貧乏揺すりを始める。 (終わったな…。 お前は良くやったと思うよ田辺…。 だが、ここまでだ!) 怪物同士の戦いは、怪物丼の勝利で終わ…。 しかし、そう思った直後、田辺の腹がキュルルルルルルーー! そんな音を響かせる。 そして復活した田辺は、怪物丼を一気に平らげた。 残り2分前の悪夢。 「嘘、嘘…でしょ? 誰か嘘だと言ってくれ…。 嘘だ、嘘だ、嘘だぁぁぁぁぁーー!?」 俺と親父さんは叫び声を上げ、そして全てが終わった。 ただ絶望だけが残され…。 虚しく時だけが過ぎ去る…。 そして…俺と店主は、ただ虚空を見詰め思いを巡らせた。 サヨウナラ賞金。 サヨウナラ…俺のバイト代。 そんな絶望に沈む俺達を見詰めながら、ただ1人…田辺だけが歓喜の雄叫びを上げるのであった。 嘘…でしょ…こんなの…。 そんな俺達の思いを余所に店内には、田辺美奈保の獣のような勝利の雄叫びだけが響き渡り…。 木霊し続けた。 ーーー完ーーー
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加