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気のせいか頭痛が生じてきた気もする。
「どうした?近う寄るが良いぞ」
「あの、その前に……」
「何じゃ?」
先程から時代を感じる、というより老人の様な喋り方をする少女に待ったをかけ、とりあえず考えを纏める。
数秒考えたが、この少女に聞く事は一つしか思い浮かばなかった。
「……あの、どちら様ですか?」
嘘偽りのない本音であった。だが、目の前の少女はきょとんとした顔でこちらを見ている。
ピコピコと動いている犬の耳の様な物を見る度に頭痛が酷くなっている気がして早く回答が欲しかった。
「なんじゃ、人に名前を聞く時は自分から言うのが礼儀じゃろうに」
自分からすれば不法侵入の女に言われたくなかった。
「まぁ助けて貰った礼じゃ、大目に見て教えようぞ。わっちの名は――」
次に聞こえたのがあまりにも突拍子も無く、幻聴であってほしい物であった。
「わっちの名は、アマテラスじゃ」
数秒の沈黙、思考が追いつかない。更に数秒の沈黙、ようやく頭が回り始める。
既に数十秒の沈黙、確かにこの全裸の少女は自身を【アマテラス】と名乗った。
そしてまた数秒の沈黙。
「…………はい?」
ようやく出てきた言葉はそれだけであった。
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