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千晴の指摘に、後ろ暗い何かがある三年生と林田は明後日の方向を向いた。あの日の先輩の行動だろうかと、それぞれが違う人物を思い浮かべてしまう。
「ともかく、トイレで音が鳴るといえば水しかない。これだけ壊れたトイレなんだ。音源となる水漏れがどこかにあるだろう」
楓翔は何があったか追及は無理そうだと思って言っていた。聞き出そうとすれば実験の資料と同じ目に遭うことは目に見えている。
「そうだな。じゃあ、洗面台から」
桜太は早速目の前にあった洗面台の蛇口を捻った。ちゃんと水が出てくる。しかし横から水が漏れていて噴水のようになる特典がついていた。
「ここから流れる音だけだな」
科学部のメンバーは耳を澄ましてみたが、すすり泣きと勘違いするような音はしていなかった。
「怪しいのは個室しかない。水が流れるのは後は個室だけだからな。小便器は昔ながらの自動洗浄がついていないタイプだ」
亜塔はそう言ってさっさと使用可能な方のドアを開けた。しかしすぐに閉めてしまう。
「どうしたんですか?」
あまりに素早い行動に、桜太は何があったのかと興味をそそられる。
「いや、恐ろしく汚い」
「えっ?」
掃除だけはちゃんとされているのにと、桜太は首を捻った。しかも亜塔が引くとなると相当だ。
「どれどれ」
ここは元顧問としてと、林田が次にドアを開けた。
「ははん。どこにでも不良はいるもんだな。そして人目のないところをよく知っている。それにしても、煙草は王道だが何故にゴム?」
惨状を目の当たりにした林田にも謎のものがあった。おそらく亜塔が引いた理由もこのゴム製品のせいだ。
「は?ゴム?」
何のことか解らない千晴は個室を覗こうとした。しかし男子が素早く壁を作って見えないようにしてしまう。
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