初めてのデート

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やっと映画が始まった。 どこかの高校が映し出された。 次にセーラー服を着た女子高生が校舎から出て来た。 しかし高校生にしては少し太めで爽やかさが足りないような気がした。 それにスカートが少しミニすぎる。 女子高生は電車に乗り、渋谷駅で下りた。 するとハチ公前で若い男性が待っていた。 ボーイフレンドらしい。 少し年上と言った感じなのでおそらく大学生だろう。 二人は手を繋いで映画館に入った。 隆志はほっとした。 恋人どうしは手を繋ぐものだという事を教えてくれているようで、うれしかった。 真っ暗な映画館に入ると、男性はコーラとポップコーンを買い、毛布を持ってきた。 隆志はなんとなく自分と似ていると思い、少し気恥ずかしかった。 男性は毛布を女子高生のミニスカートの上にそっと置いた。 女子高校生はうれしそうにお礼を言った。 隆志はゆかりさんを横目で見たが、じっとスクリーンを見つめている。 男性は女子高生に体を近づけた。 そして毛布の中に男が手をいれ、動かしだした。 女子高生の顔が歪んだ。 そして口をあけ、喘ぎだした。 隆志は横にいるゆかりさんを見た。 ゆかりさんは下を向いている。 今度は男性が女子高生のセーラー服の胸の隙間に手を伸ばした。 ―嘘でしょー 隆志の目が点になった。 同時にゆかりさんが突然立ち上がり、出口に走った。 隆志も慌ててその後を追いかけた。 しかしゆかりさんはどこかに行ってしまったのか、見当たらない。 案内嬢がいたのでチケットと違う映画が流れていると文句を言った。 「間違っていません。シアター3です」 「でもアダルトだった」 隆志は自分が出て来たすぐ横のシアターを指差した。 案内嬢はチケットに目をやった。 「この映画は上の階ですよ。フロアを間違えたのではないですか」 「嘘でしょ」 案内嬢はこのチケットの映画はそこの階段を「あがって」二つ目だと繰り返した。 隆志は急いでいたので「上がって」というのを「曲がって」と聞き違えたのだ。
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