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ある日突然、それは発生した。
大都市の病院が一夜にして、死屍累々の地獄と化した。
生存者は4名、死者数百名、生存者の精神は完全に崩壊していた。
猟奇的な死体が大量に生み出される『ナニカ』が起きた、確実な情報はたったのそれだけであった。
また別のある日、それは中学校で発生した。
賑やかな声が突如として消え去り、違和感に気付いた者が外からを覗くと、運動場には猟奇的な死体が無数に転がっており、校舎の中は更に上を行く地獄が広がっていた。
生存者は0、教員も生徒も1人残らず死んでいた。
中には、判別不能の死体もあったと言う。
とある商社のビル内でも、同じことが起きた。
生存者は3人、死者72人。
この時の生存者は、1人だけ何とか会話が可能な状態であった。
その男は、異世界に繋がってしまった、全てが終わったと感じた、そう答えていた。
だが翌日、その男は自殺してしまったため、これ以上調べることは不可能となった。
それから現在に至るまでの10年間、同様の事件はあちらこちらで発生し、頻度は加速度的に増していた。
いつ、どこで、何故、何が起きるのか。
現象の調査のために数千とも、数万ともつかない人間が力を尽くしたが、非常に危険な現象である事だけが、確実な情報としてもたらされた。
人々は、何の防衛策も取れないまま、恐怖に怯える生活を強いられていた。
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