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電車は北久里浜駅を出発した。するとまた、隼人が私の腕をポンポンとたたいて、私に電車の話をしてくれた。
「もうすぐにね、もう一つの車両基地があるんだよ」
「へー、あったっけ、こんなところに」
「うん、この車両基地には、京急で一番古い電車が置いてあるんだよ」
「古いって、どれくらい?」
「たぶん、百年位前かな」
「そんなに古いの、すごいね、それ、見れるの?」
「ううん、屋根と壁で隠れてて、よく見えないんだ」
電車は車両基地の横を通り抜けていく、端っこの方に、倉庫のような建物が見えてきた。
「ほら、あそこに電車があるんだよ」
隼人は窓に指差して、私に教えてくれた。建物しか見えずに、よくわからなかったが、私は、何度も相槌をうって、隼人を満足させた。ごめんね、これくらいしかできなくて。
三浦海岸駅に着いた。隼人は落ち着かない様子だ、私も、なんだか落ちかない、あと一駅、私は、電車を降りたら、もう隼人の後を追わないと決めていた。ただでさえ、こんな不可思議な事が起きているのに、万が一、未来の自分にあったらどうしよう、そんなことが割きに頭をよぎったからだ。だから私は、隼人のあとは追わない。
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