面会

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面会

……駄目だ、彼女には会いたくない。――二日前の、「あの顔を見てしまった」という感情が離れず、下手な緊張をしてしまってしょうがない。しかし、今日だけは会わない訳にはいかない。 進展どころの話ではない事が起こった。 「な、何かお呼びでしょうか!?」 これが彼女の第一声。 「……なんで敬語なんだ?」 「な、何かお呼びか?」 互いに緊張しているのが分かる。それも双方共に、恐らく悪い意味で。 少し落ち着いてから、彼女に言った。 「……亀田貿易の長、亀田正志が面会に来る」 「なんだって!?」 どうやら、今ので悪い緊張が解けたらしい。それもそうか、俺たちを狙っているだろう相手だ。下手なことはできない。面会時間は今日の午後三時だ。
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