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だが、それが不可能な事は分かっていた。人員がいないのだ。上階の部隊が戻ればいいが、彼等も1人として戻らないのだ。
と、その時、正面玄関が騒がしくなった。
「うるせえな!!どきやがれ三助が!」
「邪魔する奴は、ケツ穴余計にこさえてやるわ!便秘よさようなら!」
何とも下品な物言いと共に現れたのは、それぞれ戦闘服に身を包み、ショットガンやオートライフルで武装した2人の男女だった。
「おら!STSの土方とその舎弟だ!状況をさっさと教えなよ!」
「なんで私が舎弟よ!アンタもウォーキングデッドの仲間入りさせてやろうか!?」
「・・・え、STSなんだな?とにかく助かった!・・・他の部隊は?」
いきなり現れた男女の掛け合いに怪訝な顔をしながらも、隊長は心強い思いで2人に聞いた。
「あ?他の?オレ達だけだ。アンタ、STSに連絡したのか?」
土方が眉間にシワを寄せて答えた。
「き、君達2人・・だけ?」
「連絡したんなら、後から来るだろうよ!さあ、状況説明しろよ、オッサン!」
「あ、ああ・・ウチの部隊が、8~10階と地下に展開してるんだが、既に異常者があふれ返っている。部隊にはそれぞれ撤退指示を出したが・・」
「分かった。おい、お前は下。俺は上だ。アンタは患者や職員を外に逃がせ。後な、増援が来たら、ロビーで待機だ。弾幕を張れるようにしろと伝えてくれや。」
土方は楠木と隊長に指示を出すと、ショットガンの弾丸を確認して、階段を駆け上がって行った。
「勝手に決めて。クソ!」
楠木も、オートライフルを構え直し、隊長に地下へのルートを確認すると、ヤツの言った通りにしなさいよと言い残し、駆け出して行った。
隊長はしばらく呆然としていたが、すぐに我に返り、医師や看護師達を集めて、矢継ぎ早に指示を出し始めた。
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