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楠木は自宅に到着すると、乱暴にドアを開けこれまた乱暴にドアを閉めた。ワンルームの安アパートだから、今にもドアがちぎれ飛ぶのではないかと、彼女の隣人はいつも心配していた。
テーブルにキーホルダーを放り投げると、それはガチャンと大きな音を立てて、ぞんざいな扱いする主人に抗議した。
「くそっ・・」
楠木は吐きすてる様に言うと服を乱暴に脱ぎ捨て、バスルームに向かう。脱衣場で、ブラを外しながら、洗面台の鏡に写る自分をじっと睨みつけた。
「確かに死んでいた・・金田にしても警官にしても・・あんな傷で生きているハズがないわ。」
楠木は、ブラを洗濯機に放り込み、ショーツに手をかけた。
「あの人質達の傷も・・刃物じゃない。やっぱり咬み傷・・」
そこまで考えてから、楠木は頭をぶんぶんと振り、思考を打ち切った。ショーツをはぎ取ると、そのままバスルームに入った。熱い湯が、彼女の均整のとれた肢体を伝い落ちる。
とにかく、少し休もう。起きてからまた考えよう。
楠木に出来ることは、それだけだった。
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