第3章 ~混乱~

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「上はどうだった?」 楠木は椅子にどっかと腰を下ろして聞いた。暑苦しそうにヘルメットを脱ぐと、鮮やかなオレンジ色のショートボブが映える。 「ひでえもんだ。各階の連中は皆、化け物になっちまった。防火扉は閉めてきたが、あの人数で押し込まれたら、そう長くは持たんな。」 「そう・・絢子、STSは総員に出動が?」 「ええ。非番の連中も総動員。市街は蜂の巣つついた騒ぎだよ。」 「市街?」 楠木と土方は顔を見合わせた。 「聞いてないの?あちこちで暴動が起きてるの。SATもあたしたちも、分散して投入されてるんだよ。政府は自衛隊に出動要請をかけたって話だよ。」 「暴動・・なんでこんな時に?」 美香は首をひねった。 「絢子よ、その暴動ってのは、まさか・・」 土方が眉をひそめて聞いた。 「ご明察。都内に化け物が現れたんだ。ここにいるみたいなの。どこから?そんなの知らないよ。都内の各警察署や警視庁に、110番がガンガン。回線はパンクだよ。」 美香と土方は再び顔を見合わせた。 「もうすぐ政府の緊急会見が開かれるよ。さあ、私達は一度本部に帰ろ。ここは武装機動隊が引き継ぐから。」 そう言って踵を返した絢子は、さっさと歩いていく。美香と土方も、やれやれという表情になり、後に続いた。
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